【住宅ローン控除利用者と控除額の20年間の推移 】

コラム 住宅ローン

マイホームを購入したり新築したりする時に多くの人は住宅ローンを利用します。そして、住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)の所定要件に該当していれば、借入残高に対する一定の割合まで税額を控除できる制度があります。払う税金を減らせる魅力的な制度ですが、実際にはどのくらいの人がどのくらいの税額を控除しているのでしょうか?住宅ローン控除の控除額の推移を確認してみました。

 

●消費増税後に住宅ローン控除適用者が大きく減少
まず住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)の適用者数と控除適用者の割合(申告納税者に対する適用者の割合)の推移をグラフにしてみました。1988年分から2017年分まで20年間載せてあります。

資料:国税庁「平成29年分申告所得税標本調査」

 

直近(2017年)の控除適用者数は23.5万人で、前年に比べて1.5万人増えていますが、その前は2013年からの3年間で8.1万人も減っています。2014年4月に消費税率が5%から8%へ上がったことが適用者数に影響しているのかもしれません。増税前に駆け込みで住宅を購入した人や、増税後に購入意欲がなくなってしまった人も一定数いたのではないでしょうか。過去20年間の推移をみると、適用者数が最も多いのは2009年の33.3万人、最も少ないのは2004年の19.2万人なので、各年では意外と大きな差があります。

 

控除適用者の割合(申告納税者に対する割合)は直近が3.7%で、過去20年間では2.6%~4.8%の範囲で推移しています。2011年から4年間だけ4.0%を超えているのも、消費増税が何らかの形で影響していそうです。

 

●控除額が多くでも平均控除額が高いとは限らない
次に控除額と平均控除額をグラフにしてみました。控除額は住宅ローン控除をした人の控除額の合計、平均控除額は控除額を適用者数で割った1人あたりの額になっています。

資料:国税庁「平成29年分申告所得税標本調査」

 

直近2017年(平成29年)分の控除額は430億円で、平均控除額は18.3万円となっています。2017年の控除額は、過去20年間の中では2006年(495億円)・2005年(434億円)に次いで3番目に多く、現在3年連続で増えています。平均控除額は2004年(18.6万円)に次いで2番目に高く、現在4年連続で増えています。

 

控除額と平均控除額は、ここ数年だけみれば同じような動きをしていますが、基本的には連動していないようです。例えば2004年は、控除額は過去20年で最も少ない(1998年と同額)ですが、平均控除額は過去20年で最も高くなっています。

 

4項目それぞれ過去20年間の平均値を求めると、控除適用者数は25.1万人、控除適用者の割合は3.6%、控除額は391.6億円、平均控除額は15.6万円になります。2017年の数値を平均値と比べると、適用者数は1.6万人少ないですが、控除額は38.4億円多く、控除適用者の割合は0.1%高く、平均控除額も2.7万円高くなっています。これは、適用者数(住宅を購入・新築する人)は減っているが、比較的高額な物件を高額所得者が購入・新築したことで、控除額や平均控除額がかなり膨らんだのではないかと推測できます。高額な物件が多いということは、地価や物件価格の高い都心部(東京・大阪等の中心部)の取引が多かったのではないでしょうか。

 

住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)を利用できれば払う税金を減らすことができ、ローン返済の大きな助けにもなります。しかし、過去20年をみると、平均控除額は12.9万円~18.6万円の範囲で推移しており、毎年限度額まで控除できている人は限られているようです。限度額まで税金を控除できる前提でマネープランを立ててしまうと、資金不足になってしまう可能性があるので、控除額に過度な期待をしなくても成り立つようなプランニングをするよう心掛けましょう。

 

 

松浦建二(CFP ®認定者・1級FP技能士)

青山学院大学非常勤講師/FPとして個人向けや中小法人向けコンサルティング業務やFPに関する講演・執筆を主に、金融商品の販売代理業務等を行っています。各メディアにて取材協力も行っています。

 

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