【民泊制度を確認して地域の特徴を知ろう!】

コラム

日本へ観光に来る外国人が急増したことで、民泊は不足気味な宿泊施設を補う効果があります。また、全国で増加している空き家の有効活用にも民泊は期待されています。民泊に対する期待は高まっていますが、騒音やゴミ出し等のトラブルが心配な声も多くあります。トラブルの当事者にならないためにも、まずは民泊とは何かを確認し、近所にできたとしても慌てることのないようにしておきましょう。

 

●住宅宿泊事業法の成立
健全な民泊の普及を図るために、2017年6月に住宅宿泊事業法が成立しました。国内で民泊を行う場合は下記等の方法から選択して始めます。

・ 旅館業法の許可を得る
・ 国家戦略特区法の認定を得る
・ 住宅宿泊事業法(民泊新法)の届け出を行う

それぞれ所管省庁が違ったり営業可能地域が違ったりしていますが、この中で一番取り組みやすいのが住宅宿泊事業法の届け出を行う方法です。

 

●住宅宿泊事業法の対象となる住宅
対象となるのは「台所」「浴室」「便所」「洗面設備」のある住宅です。近隣の銭湯を浴室の代替にしたり複数の届出住宅で浴室等を共有したりすることは不可ですが、洗面やトイレと一緒のユニットでも可能で、シャワーがあれば浴槽がなくても構いません。マンションでも戸建てでも可能ですが、分譲マンションでは管理規約で住宅宿泊事業(民泊)を禁止している場合が多いです。禁止にしていない場合でも、管理組合に住宅宿泊事業を営むことを禁止する意思がないことを確認できる書類の提出が必要です。

 

住宅宿泊事業として営業できる日数は年間180日以下に制限されています。つまり残りの185日程度は必ず空室になるので、事業者にとってはこの空室をどう考えるかが大きなポイントになります。

 

 

●住宅宿泊事業者の業務
住宅宿泊事業(民泊)を開始するには、事前に住宅所在地を管轄する都道府県知事等へ届出をする必要があります。そして住宅宿泊事業者には適正な遂行のために下記の業務等が課せられています。

 

 

・ 宿泊者の衛星確保……宿泊者1人あたり3.3㎡以上の居室を確保し、清掃・換気をすること
・ 宿泊者の安全確保……非常用照明器具の設置、避難経路の表示、その他火災等の災害発生時に宿泊者の安全確保をすること
・ 外国人観光客の快適・利便性確保……外国語で設備の使用方法案内、移動のための交通情報提供、災害発生時の通報連絡先の案内をすること
・ 宿泊者名簿……宿泊者名簿備付けにあたり、本人確認を行って作成、3年間名簿を保存、宿泊者の氏名・住所・職業・宿泊日を記載、外国人の場合は国籍と旅券番号を記載すること
・ 周辺地域への悪影響防止……宿泊者に対して「騒音防止」「ごみ処理」「火災防止」等のために配慮すべきことを説明すること
・ 苦情等の対応……届出住宅周辺地域からの苦情・問合せに適切かつ迅速に対応すること
・ 住宅宿泊管理業者への委託……届出住宅の居室数が5を超える場合や人を宿泊させる間に不在等となる場合、住宅宿泊事業者は各業務を住宅宿泊管理業者へ委託すること
・ 住宅宿泊仲介業者への委託……宿泊サービス提供契約の締結代理・媒介を他人に委託する場合は、登録住宅宿泊仲介業者または旅行業者に委託すること
・ 標識の掲示……住宅宿泊事業者は届出住宅ごとに見やすく標識を掲示すること
・ 都道府県知事への定期報告……毎年偶数月15日迄に届出住宅ごとに宿泊日数・宿泊者数・延べ宿泊者数・国籍別宿泊者数の内訳を報告すること

個人が小規模に事業をするにはかなりハードルが高いと言えます。外国語の対応だけでも諦める理由になる人が多そうです。

 

●住宅宿泊事業者にかかる罰則
住宅宿泊事業者には、各種届出を怠ったり虚偽の届出をしたりすると下記の罰則があります。

近隣住民でも玄関に掲示されている標識をみれば、その住宅が民泊をしているかどうか確認することができます。もし掲示がなく宿泊業をしていれば違法民泊の可能性があるので、疑わしい住宅を発見した時は保健所へ連絡すると良いです。

 

日本を訪れる外国人観光客が増えることは歓迎できても、隣の家が民泊を始めて日替わりで見知らぬ外国人が来たらどのように受け止めますか?住宅を提供する人と泊まる人が満足するだけでは民泊は成り立ちません。事業者は近隣住民に制度を正しく理解してもらい、平和な生活が損なわれることのないよう細心の注意を払ってもらいたいものです。

 

 

※民泊の詳細は観光庁の民泊制度ポータルサイトで確認できます。

 

 

 

 

松浦建二(CFP ®認定者・1級FP技能士)

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