【火災保険に付保されている「借家人賠償責任補償特約」と「個人賠償責任補償特約」】

コラム 保険

物価上昇が止まりません。

給与や年金が増えない中、物価が上昇していく現状は、家計の大きな負担となっています。

その負担がストレスとなって、うっかり事故を起こすことにつながったり、思わぬ損害賠償責任を負うことにもつながりません。

借家住まいの人は、入居時に仲介業者から火災保険に加入するよう勧められることが多いと思いますが、その火災保険に付保されている個人賠償責任補償特約と借家人賠償責任補償特約は、うっかりミスで、入居する物件や他の入居者に損害を与えた場合に助けてくれます。今回は、この2つの特約について、お話しします。

 

【幅広く個人的な賠償事故に備える個人賠償責任補償特約】

個人賠償責任補償特約は、日常生活において、過失により他人の身体、財産等に対して損害を与えて、損害賠償責任を負う場合に備えるための保険です。火災保険のほか、自動車保険等の特約として契約をすることが多く、保険金額1億円に対して保険料は年間数千円で付保することができ、最近は、2億円、3億円と補償額が大きい特約も散見されます。

この特約は、契約者本人のほか、配偶者、生計を一にする同居親族、別居の未婚の子も自動的に被保険者となるのが一般的となっています。

 

アパートやマンションで補償される賠償事故には以下のようなケースが想定されます。

 

・部屋の浴室の水栓を閉め忘れ、水が溢れて、階下に水漏れして、損害を与えてしまった

・部屋の洗濯機の排水ホースが外れ、パンから水が溢れ、階下に水漏れして、損害を与えてしまった

・ベランダやバルコニーから植木鉢を落として、通行人や通行中に自転車に損害を与えてしまった

 

その他、マンションやアパートに限らず、以下のような日常生活における損害賠償事故も補償されます。

 

・ゴルフプレー中に打ったボールが、他のプレイヤーに当たり、負傷させてしまった

打ったボールが駐車場に止まっている他人の自家用車に当たり、損害を与えてしまった

・プライベートで自転車乗車中に、過失により、誤って通行人に衝突して、ケガをさせてし

まった

・買い物中に子どもが、過失により、お店の商品を落として壊してしまった

・遊んでいた子どもが、過失により友人にケガをさせてしまった

 

なお、以下の点にも留意が必要です。特に自転車等の移動中の事故について注意が必要です。

 

・個人賠償責任補償特約は、業務中は対象外であるため、配達で自転車を使用しているときの賠償事故は補償されません(施設所有管理者賠償責任保険で補償されます)

・原動機付き自転車や電動キックボードは自動車保険(原動機付き自転車特約等)で補償され、個人賠償責任補償特約では補償されません

・プライベートであっても、自転車を飲酒運転しているときの対人事故、対物事故は補償されない可能性があります(ケース・バイ・ケースですが、心身喪失に起因する損害賠償責任を免責としています)

 

また、従来は、借り物は原則、補償対象外であり、受託品賠償責任補償特約を付保すると補償されましたが、最近は、受託品賠償責任補償特約がなくても、借り物も補償対象とする保険も増えています。

具体的には以下のようなケースです。

 

・旅行で宿泊中の宿泊施設(民泊施設を含む)の備品を破損した

・子どもが友人から借りたもの(ゲーム機等)を壊した

・友人から借りたスキー用具を誤って損害を与えた

・ゴルフ場敷地内でゴルフ場から借りているゴルフカートに損害を与えた

・レンタルショップで借りたものを壊してしまった

 

なお、借り物であっても、

・借りたお金を紛失した

・入居する物件を破損した

場合には、個人賠償責任補償特約では補償されません。

入居する物件に損害を与えた場合の損害賠償責任に備えるのが、借家人賠償責任補償特約です。

 

【大家さんに対する賠償に備える借家人賠償責任補償特約】

借家人賠償責任補償特約は、大家さんに対する賠償責任を担保します。

賃貸借契約で借りた住宅を、寝たばこ等、火の不始末により物件に損害を与えてしまった場合、大家さんに対して損害賠償責任を負います。この賠償費用を手当てすることができる特約が借家人賠償責任補償特約です。

 

なお、隣家(人)に対する損害賠償責任は、個人賠償責任補償特約で補償されます。

 

入居者がアパートやマンションを借りる際に契約する火災保険本体は、家財の補償であり、賃借した物件に与えた場合の大家さんに対する損害賠償責任に備える補償(借家人賠償責任補償特約)と、

それ以外の第三者の身体・財産に与えた損害賠償責任に備える補償(個人賠償責任補償特約)を付保することが一般的です。

 

入居時に保険に加入したものの、保険のお陰で助かった、という経験を持つ人は少ないことと思います。しかし、誰にでもうっかりミスはありますし、インフレで、生活が厳しくなっているご時世では、賠償事故による困窮は避けるためにも、重要性を増しています。

 

戸建てやマンション等の持家にお住まいの人、賃借物件にお住まいの人、

火災保険を契約している人、未契約の人、加入しているか否か分からない人、

建物と家財のどっちの保険を契約しているか分からない人など、

意外とすまいの保険については、よく理解しないまま、契約しているケースも多いようです。

 

現在の火災保険の内容を確認したい方、新たに補償を追加したり、過剰な契約をスリム化

したいとお考えの方は、是非、私たちFPにご相談ください。

 

 

 

益山 真一

1971年生まれ。早稲田大学政治経済学部経済学科卒業。

1級FP技能士、CFP認定者

マンション管理士、宅地建物取引士、消費生活アドバイザー

ダイエット検定1級、食生活アドバイザー2級、健康管理能力検定2級

2003年から2017年まで15年にわたり、國學院大學経済学部非常勤講師

人生を楽しむお金を生み出すことを目的とした執筆、講演活動を展開。

主なテーマは「資産形成・老後資金準備と家計管理」

FPの資格取得・継続教育、宅建の資格取得研修、高校・大学の講義のほか、

投資家向けセミナー、内閣官房内閣人事局主催のキャリアデザイン研修講師、

ファイナンシャルアカデミーのお金の教養講座・経済入門スクール等、

セミナー・研修・講義は2021年3月時点で3083回。

活動理念は「心、カラダ、キャリア、時間、お金」の5つの健康のバランスを考えた最適提案。

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