【マイホーム購入者の頭金や返済額はいくら？】
マイホームを購入する時に頭金はどのくらいあれば良いでしょうか？毎月いくら位の返済なら問題ないでしょうか？購入した人は頭金をどのくらい貯め、いくら返済しているのか等、マイホーム購入の参考になるような統計を調べてみました。世の中の平均像を確認しておきましょう。
●建売住宅購入者の頭金の中央値は僅か10万円
住宅金融支援機構『フラット35利用者調査』では、フラット35を利用した人の状況調査を毎年しています。その中から、最初に新しい家（注文住宅・建売住宅・新築マンション）を手に入れた人の頭金（手持ち金）と月々返済額、そして総返済負担率を調べて表にまとめてみました。
注文住宅とは建物のみフラット35を利用して建てた人のことで、土地は以前から所有していて建替えた場合だけでなく、フラット35を利用しないで購入した土地に建てた場合も含まれています。首都圏は1都3県（東京都・埼玉県・千葉県・神奈川県）としています。
首都圏での注文住宅の平均像は、750万円の頭金を用意し、建てた後は月々10万円のローン返済をしていて、返済額は世帯収入の21％となっています。全国平均は首都圏より頭金が130万円少なく、ローン返済額は6,700円少なく、返済負担率も0.3％低くなっています。首都圏での注文住宅は、頭金を多く準備しているものの、価格が比較的高額なことから返済額が多くなり、負担率も高くなっていると考えられます。
建売住宅は注文住宅に比べて頭金が約450万円も少ないですが、一方でローン返済額は1万円強多く、負担率も3％高くなっています。建売住宅を購入した人は頭金をあまり貯められていない状況で気に入った住宅が見つかり、借入れに多く頼って購入している姿が浮かびます。
新築マンションは注文住宅に比べて頭金が約80万円多く、ローン返済額も約3.2万円多く、負担率も1.8％高くなっています。頭金を多めに準備していても多くの借入をしていることから、購入価格が注文住宅よりも高いと考えられます。マンションは都心部を中心に地価の高い場所に多く立地していることから、価格が高くなりやすいのでしょう。
何れの場合も首都圏では頭金を多く準備していて、かつ、ローン返済額も多く、負担率も高くなっています。
また、平均値と中央値では頭金で衝撃的と言えるほど大きな差があります。例えば、首都圏の建売住宅では平均298万円に対し、中央値は僅か10万円です。全国も247万に対し僅か6万円です。建売住宅では頭金0円で購入している人が相当数いると考えられます。それでも返済額や負担率は平均値と中央値で僅かな差しかなく、購入自体は無理なくできていそうです。
●中古マンションの総返済負担率は平均20.4％
住宅金融支援機構『フラット35利用者調査』から次に中古の家（中古戸建・中古マンション）を手に入れた人の頭金（手持ち金）と月々返済額、そして総返済負担率を調べ、表にまとめてみました。
首都圏での中古マンションの平均像は、376万円の頭金を用意し、建てた後は月々9.3万円のローン返済をしていて、返済額は世帯収入の20％程度となっています。新築マンションと比べると、頭金は半分以下でローン返済額は約4万円少なく、返済負担率も2.5％低くなっています。また、頭金の中央値が新築400万円に対し中古は52万円でかなり大きな差が見られます。購入者層が新築と中古で大きく異なるのでしょう。
首都圏の中古戸建は、中古マンションと比べて頭金が約100万円少なく、月々返済額も4,100円少なくなっています。ただ、総返済負担率は戸建の方が高いことから、価格は中古マンションの方が高く（頭金や借入額が多い）、購入者の収入もマンションの方が多い（マンションの方が高い負担率なので）と考えられます。比較的価格の高い都心部ではマンションの方が多いことも影響しているのでしょう。
購入者像から、マイホームを購入する時に頭金はどのくらいあれば良いか、返済額や返済負担率はどの位なら問題なさそうか、確認できたのではないでしょうか？住宅ローンを借りられることが前提ですが、頭金は意外と少なくても購入は可能です。返済額や返済負担率は堅実な人が多いようですが、個々によって事情が異なるので、統計を参考にしつつ、自分にとって最適なプランで進めて行くようにしましょう。
マイホーム購入を失敗させないために、住宅に詳しいファイナンシャルプランナー等の専門家に上手く導いてもらう方法もあるので、心配な人は気軽に相談してみると良いでしょう。
松浦建二（CFP ®認定者・1級FP技能士）
青山学院大学非常勤講師／FPとして個人向けや中小法人向けコンサルティング業務やFPに関する講演・執筆を主に、金融商品の販売代理業務等を行っています。各メディアにて取材協力も行っています。
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