【民泊の住宅数は都道府県や区によってかなり差がある】
2017年6月に住宅宿泊事業法が成立し、民泊事業者(住宅宿泊事業者)の届出が義務付けられました。そこで届出受理済件数から、どこの都道府県に民泊が多いのか、東京23区ではどこが多いのか、現在の民泊事情を確認してみました。
●全国の3分の2が東京都・北海道・大阪府に集中
観光庁民泊制度ポータルサイトには、2018年6月15日(法施行日)以降、半月ごとに住宅宿泊事業の届出提出件数・受理済件数・事業廃止済件数が載せてあります。直近11月30日時点の都道府県別件数と、比較のために6月15日時点の件数を表にまとめてみました。一つ目の表は受理済件数の多い都道府県です。届出先は原則都道府県ですが、保健所設置市(政令市、中核市等)や特別区(東京23区)では代わりに届出の受理・監督等の事務を処理することができます。表の数値は都道府県別に合算してあります。
資料:観光庁民泊制度ポータルサイト
2018年11月30日時点での全国の届出受理済件数は11,018件(都道府県3,534件、保健所設置市3,640件、東京23区3,844件)となっています。都道府県別で最も多いのは東京都の4,010件で、全国の3分の1が都内に集中しています。特に23区は3,844件で、東京都では民泊のほとんどが23区に集中している状況です。
同様に2番目に多い北海道では1,622件のうち札幌市に1,289件集中していて、3番目に多い大阪府も1,440件のうち大阪市内に1,315件も集中しています。
北海道や沖縄県で民泊が多いのは、訪日外国人観光客に人気の観光地だからではないでしょうか。また、人口の多い都道府県が並んでいるのは、住宅の絶対数が多いことも関係していそうです。
●秋田県には6件しか民泊がない
次は届出住宅の受理済件数が少ない都道府県です
資料:観光庁民泊制度ポータルサイト
民泊の受理済件数が最も少ないのは福井県と秋田県の6件で、東京都とは桁が3桁も違います。大分県と山口県は6月から1件も増えていません。民泊が少ない都道府県10県を合計してもわずか130件にしかならなく、10番目に多い広島県(129件)と同程度です。
人口減少率の大きい県が多く含まれており、空き家を民泊に有効活用して地域活性化をしても良さそうですが、適した事業者等がいないのでしょうか?
●東京23区では新宿・渋谷・豊島区に民泊が多い
最後に東京23区の受理済件数を区ごとに確認してみました。
資料:観光庁民泊制度ポータルサイト
23区では新宿区・渋谷区・豊島区の順に多くなっています。この3区には新宿駅・渋谷駅・池袋駅の大ターミナル駅があるので、外国人観光客にとって魅力的な場所と言えそうです。一方で都心の千代田区と中央区が極端に少ないです。調べてみると、区の条例で実施できる事業日数にかなり制限を設けています。千代田区の人口が密集している区域での家主不在型(管理者駆け付け型)では、金曜日の正午から日曜日の正午までの宿泊のみ可能となっています。中央区でも区内全域で土曜日の正午から月曜日の正午までの宿泊のみ可能にしています。住宅宿泊事業をしようと考えている人にとっては厳しい条例ですが、千代田区や中央区には既存の宿泊施設が数多くあるので、民泊が少なくても十分な受け入れ先は確保されています。そこで暮らしている区民にとっては安心できる条例と言えそうです。
マイホームが所有の場合でも賃貸の場合でも、お隣さんがどんな人かはとても気になるものです。隣が民泊だと国際交流できるかもしれませんが、毎回違う人が泊まるので、中には騒がしい人や共用部を汚す人等も来るでしょう。静かな生活を望むなら、近くに民泊はない方が良いと考える人も多いはずです。これから居住地を選ぶ人で近隣に民泊があると気になる人は、この統計を居住地選びの参考にしてみて下さい。
※民泊の詳細は観光庁の民泊制度ポータルサイトで確認できます。
松浦建二(CFP ®認定者・1級FP技能士)
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