【もし購入予定の土地に水道がなかったら? 】

コラム

家を建てるために購入する予定の土地に水道管の引き込みがなく、前面道路から新たに引き込むこともできなかったらどうしますか?新たに購入しようとしている家や借りようとしている家の水道が井戸水だったら、どのように感じますか?今日の日本では公営の上水道が整備されており、空気と同じようにあって当たり前のような存在ですが、実は上水道がない地域もあります。地域の特性を理解するために水道の普及率を調べてみました。

 

●水道普及率の全国平均は97.9%
一般的に住宅等にはきれいな水を家に引き込む上水(給水)と、使用した水を処理する下水(排水)の設備があります。どちらも現代社会で生活していくにはとても重要なものですが、いつでもどこでも美味しい水が蛇口から出てきて、使用後は排水管から何の不自由もなく処理できるとは限りません。それぞれ地域の状況によって異なり、水道がない地域もあります。まずは都道府県による水道(上水)普及率の違いを表にしてみました。なお、水道には上水道・簡易水道・専用水道があり、水道以外の給水方法としては井戸等があります。

 

都道府県別水道普及率

資料:熊本県「熊本県の水道(平成29年3月31日現在)」で確認

 

日本全体の水道普及率は97.9%で、100人中約98人が水道(上水道・簡易水道・専用水道)を利用できる環境にあります。東京都・大阪府・沖縄県の3都府県は普及率100%ですが、厳密に言えば何れも小数点第二位を四捨五入したことで100%になっており、より正確に表すと東京都の99.997%が最も高くなっています。水道普及率が最も低いのは熊本県(87.6%)で、以下秋田県(91.2%)大分県(91.9%)と続きます。熊本県の普及率が低いのは、地震とは関係なく美味しい地下水が豊富なのかもしれません。

 

●首都圏では千葉の普及率がやや低い
続いて首都圏の状況をもう少し細かく知るために、一都三県(埼玉県・千葉県・東京都・神奈川県)の水道普及率を区市町村ごとに確認してみました。

 

埼玉県の市町村別水道普及率(上水)

資料:埼玉県「埼玉県の水道平成29年度版」

 

埼玉県は水道普及率が99.8%とかなり高いことから、県内各市町村も普及率はかなり高くなっています。県庁所在地のさいたま市は99.9%ですが、川口市や川越市等の20以上の市町村が100%となっており、市では行田市の96.8%が最も低く、他は県西部の町が比較的低くなっています。

 

千葉県の市町村別水道普及率(上水)

資料:千葉県「平成28年度千葉県の水道」

 

千葉県は水道普及率が95.2%で隣接する埼玉県や東京都より低く、全国平均も下回っています。普及率が100%なのは表に記載の5市町だけで、主要な都市でも県庁所在地の千葉市は97.3%、松戸市は92.8%等、意外と低い普及率となっています。県内で最も低いのは芝山町で僅か22.6%しかありません。町内で販売中の中古戸建物件をみると、軒並み「上水道:井戸」と記載されています。

 

東京都の区市町村別水道普及率(上水)

資料:東京都「統計年鑑平成28年」

 

東京都は全国で一番普及率が高いので、都内区市町村は軒並み100%となっています。99%に満たないのは檜原村・新島村・奥多摩町の3町村しかなく、水道に関してはかなり恵まれていると言えます。

 

神奈川県の市町村別水道普及率(上水)

資料:神奈川県保健福祉局「平成28年度神奈川県の水道」

 

神奈川県も水道普及率は99.9%とかなり高く、県内各市町村でも横浜市や川崎市等100%が目立ちます。普及率が低いのは愛川町(93.2%)や小田原市(96.9%)等で、埼玉県と同じく県西部の市町村が比較的低くなっています。西部は山が多く、美味しい地下水が簡単に手に入るのかもしれません。

 

現代社会においては、普段生活する家に公営の上水道があるとないとでは、安心感に大きな差があります。井戸との併用も良いでしょうが、井戸しかないと不便に感じることも多いのではないでしょうか。新たな場所に住むときは、事前に水道の有無も必ず確認するようにしましょう。

 

 

 

松浦建二(CFP ®認定者・1級FP技能士)

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