【マンションの管理費、修繕積立金の上昇圧力に備えよう!】

コラム マンション 管理

2020年の消費者物価は横ばい。
ですが、セミナーでアンケートをとってみると、何故か、物価上がっていると感じる人が多いようです。
おそらく、税金、社会保険、水道光熱費の支出が増えていることが原因ではないかと推察しています。共通点はいずれも楽しくない出費であり、「とられている」意識が高いこと。
マンションの所有者には、管理費や修繕積立金も「とられている」意識が高い支出であり、これらにも上昇圧力が忍び寄っています。

今回は、管理費と修繕積立金の上昇圧力の背景についてお話ししたいと思います。

 

 

管理費は支出、修繕積立金は貯蓄、駐車場使用料はマンションごとに異なる

 

管理費は、管理組合の運営コストや管理会社に支払う費用である「支出」に該当します。
例えば、管理人の人件費、清掃費、設備の保守点検費用、会計業務等のほか、保険料や水道光熱費等に充てられます。

 

一方、修繕積立金は、定期的に行う大規模修繕や突発的な不具合発生時の修繕費用に充てるために予め準備する「貯蓄」に該当します。

 

家計でも「貯蓄」が多く、「支出」が少ない方が健全であるように、
マンション管理組合も、「修繕積立金」が多く、「管理費」が少ない方が健全といえます。

マンション所有者からすれば、毎月、銀行口座から差し引かれるため、両方とも「支出」に感じられますが、管理組合の立場からすると、全く異なります。

管理費は安ければよいというものではなく、適切な管理を適切な管理費で運営できているかが重要ですし、修繕積立金も多ければよいというものではなく、適切な時期に適切な修繕を実施する計画を立て、その資金計画に合わせた資金の積立ができているかが重要です。

 

なお、駐車場使用料は、マンションごとに異なります。国土交通省の標準管理規約では、「駐車場の管理費用に充てるほか、修繕積立金として積み立てる」としています。つまり、駐車場使用料のうち、駐車場の管理にかかる費用は管理費として支出し、残りは貯金して、大規模修繕費用に充てることを前提としていますが、実際には管理費会計にあてるのみ、というマンションも多くなっています。

 

人件費+資材価格の高騰

マンションの管理人として務める人は、現役を引退した方が務めるケースが多かったのですが、60歳以降の就労機会が拡大する動きが広がり、働き方の選択肢が増えたことにより、管理人の人件費に増加圧力が高まっています。

 

さらに、2021年4月から70歳までの就労確保を努力義務とするなど、人手不足による、人件費上昇圧力が高まっていくことが予想されます。東京カンテイによる首都圏マンションのランニング・コストの最新動向によると2015年から2019年までの5年連続で管理費が高騰しています。

 

https://www.kantei.ne.jp/report/103cost_shuto.pdf

また、5年ごとに行われる国土交通省の平成30年度マンション総合調査結果によると、
調査のたびに、修繕積立金の金額が増えており、築年数が経過するとマンションほど修繕積立金の金額が多くなる傾向があります。

 

https://www.mlit.go.jp/common/001287570.pdf

管理会社との管理委託契約は1年ごとに更新されますが、
今後、更新時に管理会社から、管理委託費の引き上げを求められる可能性が高まっていると考えておいたほうがよさそうです。

管理委託契約は、管理組合と管理会社の契約であるため、仮に管理委託費が引き上げられても、管理費が引き上げられるとは限りません。

いずれにしても、管理組合が、管理会社との契約、管理費を引き上げには集会(総会)の決議が必要となりますので、知らぬ間に管理費が上がることはありません。

 

また、大規模修繕費用も、作業員の人件費に加えて、資材価格の上昇も手伝い、修繕計画を立てたときに比べて、将来の修繕コストが高まっている可能性が考えられます。
現在、マンションに住んでいる人は、
・概ね5年以内ごとに大規模修繕計画の見直しが行われているか
・その見直しに合わせて資金計画の見直しが行われているか
を確認してみましょう。

 

特に2014年に消費税が8%に、2019年に消費税が10%に引き上げられていますので、
2014年以前から見直しが行われていない場合、少なくとも消費税5%分の修繕費用がアップしており、アベノミクス相場の期間注に上昇した不動産価格(資材価格)の上昇が反映されていない可能性があり、大幅な積立不足が発生している可能性も考えられます。

 

一方、これからマンションの購入を考えている人は、
価格・間取り・立地等のこだわりポイントだけでなく、
大規模修繕計画と修繕積立金の資金計画を確認してみましょう。

 

新築物件では、毎月の管理費・修繕積立金を低く抑える(住宅ローンの負担を考えると、管理費・修繕積立金が少ない方が助かる)ために、
分譲時に管理準備基金、修繕積立基金という一時金を徴収するケースが多くなっています。

管理費や修繕積立金が増えると、家計のやりくりにも影響しますし、
修繕積立金不足により、計画していた修繕を先送りすることで、資産価値が低下するのも困ります。管理費や修繕積立金の値上げは、徐々に鼓動を高めています。

 

管理費、修繕積立金は「税金」のようなもの。家計見直しで対策を

マンション所有者にとって、管理費・修繕積立金は、居住環境を維持するための「税金」のようなもの。支払わないという選択はありません。
住宅ローンの金利は低金利のまま推移しており、負担増の懸念は小さいかもしれませんが、管理費や修繕積立金は上昇圧力が高まっていることを頭の片隅において、
収入を増やす、支出を減らす対策を立てて、実行に踏み切ってはいかがでしょうか?

 

具体的には
・保障内容の見直しによる保険料負担の軽減
・住宅ローンの繰上げ返済・借換えによる負担軽減
・携帯電話、スマホの契約先変更、料金プランの変更
・電気・ガスの契約先変更、料金プランの変更
等の固定費の見直しをすることで、家計のスリム化を図ることがポイントです。

 

家計のスリム化について、第三者のアドバイスをお求めでしたら、是非、私たちFPをご活用ください。お気軽にご相談いただければ、お手伝いさせていただきます。

不動産のプロが「失敗しないお家探し」をお手伝いいたします。
まずはお気軽にご相談ください。

私たちについてはこちら

ページ上部へ▲

無料相談

閉じる