専任媒介契約とは?不動産売却におけるメリット・注意点を解説
戸建てやマンションなど不動産を売却する際、一般的には不動産会社に仲介役を依頼することが多いです。基本的に媒介契約を結ぶことになりますが、複数の種類があり、戸惑ってしまう方も少なくありません。
今回は、不動産売却で不動産会社と結ぶことの多い「専任媒介契約」について解説します。そのほかの契約との違いや注意したい点なども紹介していきますので、お困りの方はぜひ参考にしてください。
専任媒介契約とは?
「媒介」とは仲介のことであり、専任媒介契約は媒介契約の1つになります。不動産売却において、一般の人が自分で販売活動をするのは多くの手間や労力がかかります。そこで、不動産会社と媒介契約を結び、物件を売りやすくするために用いられるのが媒介契約なのです。
媒介契約には以下の3種類があります。
専任媒介契約は、制約の強さにおいては3種類の中間に位置します。専任媒介契約では不動産業者1社に専任で依頼することになりますので、ほかの会社への同時依頼はできません。ただし、自分で購入希望者を探すことは可能です。
これらの基本的な特徴を踏まえ、ここからは専任媒介契約のメリットについて説明していきます。
不動産売却における専任媒介契約のメリット
不動産会社と専任媒介契約を結んだ場合、具体的には以下の4つのメリットを受けることができます。
買主が早く見つかりやすい
専任媒介契約を締結した場合、まずは不動産会社が積極的に物件の売却活動を行ってくれるのがメリットでしょう。指定流通機構(レインズ)へ物件情報を登録、購入希望者が来ているかどうかなどの販売状況の報告などの義務が契約に入っているため、買主が早めに見つかる可能性が高いといえます。
手厚いサービスを受けられる可能性が高い
専任媒介契約は1社に限定された契約となります。そのため、ほかの不動産会社に契約を取られる心配もなく、契約を結んだ不動産会社は確実に収入を得ることができます。そのため専任媒介契約の場合、不動産会社がさまざまな営業活動や、丁寧なフォローをしてくれる可能性が高いといえるでしょう。
また、内装改修や買取保証といったサービスをつけている不動産会社もあります。このようなサービスは、専任媒介契約を結ぶことが前提になっていることが多いです。手厚いサービスを受けるために、専任媒介契約を選ぶ方も少なくありません。
仲介手数料なしの自己発見取引が可能
「専属専任媒介契約」では自分で買主を見つけることは許されていませんが、専任媒介契約では自分で買主を探して不動産の売買取引を行うことも可能となっています。不動産のプロに売却の仲介を依頼しつつ、自分の友人を介して買主を探すことができます。買い手を見つける幅が広がることになるため、早期の売却に結びつく可能性が高いといえるでしょう。
また、自己発見取引で売買契約が成立した場合は仲介役が存在しないため、不動産会社への仲介手数料が不要になります。出費を抑えることにつながり、より多くのお金を手元に残すことができます。
窓口を一本化できるため、やりとりが楽
専任媒介契約を結ぶと、契約を結んだ不動産会社1社のみとやりとりを行うことになります。内覧の日程調整や物件に関する情報の整理といった作業を不動産会社がまとめて行ってくれるため、ストレスなく売却の話を進めることができるようになります。
一方、「一般媒介契約」では複数社との連絡や打ち合わせが必要になり、その都度時間を取られてしまうため、面倒に感じてしまう方も少なくありません。売却の可能性は広がるものの、連絡量は数倍に増えるため、時間に制約のある人にとっては大きな負担となることが予想できます。専任媒介契約では窓口を1つに絞れるので、不動産会社との連絡の頻度を減らしたいという方におすすめの契約形態といえます。
不動産売却における専任媒介契約の注意点
専任媒介契約には多くのメリットがありますが、以下のような注意点もあります。注意点についても把握しつつ、どの媒介契約が自分には合っているのか検討しましょう。
希望通りに売却できるかは、依頼する1社の腕次第になる
専任媒介契約を結んだ場合、希望通りの価格で売れない可能性があります。不動産会社に物件売買の仲介を依頼すると、営業担当者が1名ついてくれます。しかしその担当者の実力については、最終的に営業活動と結果を待たないとわかりません。
そこで重要となるのが不動産会社選びです。複数社へ査定依頼をして、会社の得意分野・実績などを調べる必要があります。実際に担当者との面談を経て、信頼できると判断できたときに契約を結ぶようにしましょう。
売却活動中は囲い込みにあっていないか確認が必要
囲い込みとは、不動産会社が他社へ売却予定物件を意図的に紹介しない行為を指します。売主にとって不利益につながる結果になることが多いため、囲い込みを行う業者には注意が必要です。
1つの物件に対して売主・買主の両方を仲介することができれば、不動産会社は双方から仲介手数料を受け取ることができます。しかし、その分購入希望者の数が減り、売却のチャンスも少なくなってしまいます。
特に、指定流通機構(レインズ)への登録がなされていない場合は注意が必要です。専任媒介契約ではレインズへの物件情報登録が義務となっていますが、稀に登録をしていないケースがあります。
レインズは不動産会社同士で物件情報を共有できる専用媒体であり、売買のチャンスを増やすために有効なツールでもあります。一般の人の閲覧は不可ですが、売主になると売主専用のID・パスワードが配布されるため、レインズに物件情報が登録されているかどうか、ぜひチェックしてみましょう。
また、内見希望者が非常に少ない場合も確認が必要になります。駅近物件など需要が高い物件で、最初の1ヶ月で1件ほどしか内見希望者が来ない場合も、囲い込みが行われている可能性があるといえるでしょう。
売主都合で契約解除する場合はキャンセル料が発生する
専任媒介契約では、契約期間内に売主の都合によって契約解除をする場合、キャンセル料が発生する可能性があります。また、知り合いに紹介してもらった不動産業者が物件売却の媒介を行ってくれたなど、依頼者が契約違反をした場合も同様です。媒介契約書には、このような売主都合の契約解除や契約違反に対する措置が記載されていますので、契約違反の行為をしてしまわないように確認しておきましょう。
専任媒介契約はどんな人におすすめ?
ここまで専任媒介契約の特徴やメリット、そして注意点について解説しました。状況によって異なりますが、専任媒介契約は以下のような人に向いているといえます。
なるべく早く物件を売りたい人
専任媒介契約では、レインズへの登録が必須・積極的な営業活動が期待できる・自己発見取引が可能という3点から、物件の購入希望者を早めに見つけられる可能性が高いです。そのため、できるだけ早く物件を売りたい人には専任媒介契約をおすすめします。
自己発見取引を希望する人
確実ではないけれども、すでに知り合いで購入希望者が出そうな人にも、専任媒介契約は向いています。自己発見取引の可能性があるものの、保険として、積極的な営業活動が期待できる専任媒介契約を結ぶ方も少なくありません。不動産会社に支払う手数料を抑えられるため、より多くの利益を手に入れることができます。
複数の不動産会社との連絡が面倒な人
複数の不動産会社と連絡を取り合うのは、想像以上の時間と労力を要します。大事な連絡があったのにもかかわらず、それを放置してしまうと、貴重なチャンスを逃してしまうことになってしまうでしょう。
また、連絡の頻度が増えることでストレスが溜まり、冷静な判断ができなくなってしまう方も少なくありません。窓口を1社にして情報管理の手間を減らしたいという人は、専任媒介契約を選びましょう。
まとめ
不動産の売却を行う場合、細かいルールが多く、最初は戸惑うかもしれません。なるべくスムーズに進めるために、まずは不動産会社と結ぶ3種類の契約方式を知り、売却の方向性を決めましょう。専任媒介契約は、なるべく早く売りたい、自分で売る可能性もある、不動産会社とのやりとりに費やす時間をたくさん作れないといった人におすすめです。
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