【記録的な2019年の台風を私たちの備えの教訓にする】
昨年の秋は台風や豪雨で関東地方に大きな被害が出ました。日頃から備えをしていても想定外の威力となれば、被害を防ぐことは難しいものです。そうなると、過去から学び、今まで以上の備えをしておく必要があるのではないでしょうか?そこで、昨年、特に猛威を振るった台風15号と19号について、どのくらいの威力だったのかを確認してみました。
- 台風15号は最大瞬間風速が千葉で驚異の57.5m/s!
2019年9月の台風15号は9日に千葉市付近へ上陸し、猛烈な風と猛烈な雨を記録しました。主な観測地点の24時間降水量は下記のとおりです。
台風15号による主な観測地点の24時間降水量
資料:国土交通省「令和元年台風第15号による被害状況等について(第31報)」
台風15号による雨が特に多かったのは伊豆・箱根方面ですが、千葉県内でも豪雨となりました。降水量は静岡県の天城山で24時間に441.0mmを記録しています。降水量を過去の平均値と比べてみると、例えば箱根では、過去30年間の平均降水量は年間3538.5mmで、9月は440.5mmとなっています(気象庁HPより)。2019年9月は僅か24時間で1か月平均の57%、年間平均の7.1%降ったことになります。
台風15号は記録的な雨量でしたが、それ以上に風速も強烈でした。
台風15号による主な観測地点の最大瞬間風速
資料:国土交通省「令和元年台風第15号による被害状況等について(第31報)」
千葉の最大瞬間風速57.5m/sは、同地点では1966年観測開始以来の最高記録で、今までの最高48.6m/sを大幅に更新しました。朝の4時台に経験したことのない暴風に見舞われた人はさぞ怖かったのではないでしょうか。
ちなみに千葉は10月の台風19号でも歴代6位の40.3m/sを記録しており、館山は1968年観測開始以来歴代2位の記録となっています。
- 台風19号の雨量は歴代の記録を大幅に更新
2019年は9月の台風15号が去って僅か1か月後に再び強力な台風が上陸しました。
同様に主な観測地点の24時間降水量と最大瞬間風速をまとめてみました。
台風19号による主な観測地点の24時間降水量
資料:国土交通省「令和元年台風第19号による被害状況等について(第52報)」
台風15号でも十分に記録的な雨量ですが、台風19号は更に増し、箱根では15号で251.5mmを記録し、19号では942.5mmを記録しています。過去に例がないほどの雨量であり、箱根登山電車では土砂流入や橋梁流失など甚大な被害が発生しました。2019年10月13日から運転を見合わせており、再開は2020年の秋頃になる予定です。早期復旧を願うとともに、今年の台風でまた被害に遭わないことを願っております。
台風19号による主な観測地点の最大瞬間風速
資料:国土交通省「令和元年台風第19号による被害状況等について(第52報)」
台風19号は風速も強烈で、東京23区の各地や横浜でも40m/sを超える暴風を記録しています。
- 2019年は歴史的にも記録的な降水量と最大瞬間風速
最後に今回の台風15号と19号で記録した日降水量と最大瞬間風速が、全国的に歴史的にみてどのくらい凄いのか、気象庁のホームページからランキングを紹介します。
日降水量の歴代全国ランキング
資料:気象庁
10月12日の箱根の日降水量922.5mmは全国の歴代記録を更新し過去最高となっています。同じ日では静岡県の湯ヶ島でも歴代13位、埼玉県の浦山でも歴代18位に入っています。
さらにランキングを10月に限定してみると、今回の台風19号の威力が十分に理解できます。
日降水量の歴代全国ランキング(10月)
資料:気象庁
表は10月の日降水量の歴代ランキングですが、台風19号によってランキング内容は大幅に変わり、20位までの20か所のうち14か所が、2019年10月12日に記録した降水量となっています。ここまで過去の記録を塗り替えてしまうような大雨を誰が予測できたでしょうか?
自然災害等で想定外のことが起きてしまうと、私たちの生活に大きな被害をもたらします。もし住宅が被災してしまうと、経済的・精神的・体力的に相当なダメージを受けます。日本のどこに住んでも様々な災害は起こるものなので、起きても被害を最小限に抑えるにはどうしたら良いか、このような統計データも参考にしつつ、日頃から油断せずに対策を講じておきましょう。
松浦建二(CFP ®認定者・1級FP技能士)
青山学院大学非常勤講師/FPとして個人向けや中小法人向けコンサルティング業務やFPに関する講演・執筆を主に、金融商品の販売代理業務等を行っています。各メディアにて取材協力も行っています。
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