【台風被害で考える損害保険の受取額と必要性】
昨年の秋は台風や豪雨で関東地域に大きな被害が出ました。日頃から備えをしていても想定外の規模となれば、被害を防ぐことは難しいものです。そうなると、過去から学び、今まで以上の備えをしておく必要があるのではないでしょうか?被害状況の一部が日本損害保険協会から発表されましたので、今後のために状況を確認しておきましょう。
- 損害保険会社への事故受付件数は60万件超
2019年9月の台風15号(9月9日上陸)、10月の台風19号(10月12日上陸)では静岡県や関東甲信越地方、東北地方を中心に広い範囲で記録的な暴風雨となりました。さらに10月25日には豪雨がありました。損害保険協会が公表した損害保険会社の事故受付件数の合計値を表にしてみました。事故受付件数には、事故に関する調査依頼だけでなく、各種損害保険の補償内容や契約内容に関する相談・問い合わせ等も含まれています。2019年11月5日現在の件数なので、その後さらに増えている可能性はあります。
2019年秋の台風15号と19号による事故受付件数をみると、被害は自動車(車両保険)よりも住宅(火災保険)の方が圧倒的に多くなっています。千葉県市原市でゴルフ場のネットを支える鉄柱が倒壊して住宅を直撃したように、暴風により住宅に多くの飛来物があったと考えられます。一方、10月25日の豪雨では、自動車の件数の方が住宅より多くなっています。
- 台風15号の被害は千葉県に集中
台風15号に関しては、保険金支払い台数・件数と支払保険金が、都道府県ごとおよび保険商品ごとに集計され、下記の内容で発表しています。
台風15号による車両保険の事故受付件数は35,408台で、そのうちの7割が千葉県に集中しています。2番目に多いのが神奈川県で、3番目が茨城県と、太平洋側被害が集中しています。支払保険金は160億2500万円で、1台あたり(支払保険金/台数)の支払保険金は45万円、神奈川県は平均を上回る57万円となっています。
火災保険の受付件数も311,470件のうち5割の154,359件が千葉県に集中しており、2番目が神奈川県なのは車両保険と同じですが、東京都が3番目に多くなっています。支払保険金は2402億5900万円、1証券あたりの支払保険金は77万円で、車両保険よりは32万円多いですが、意外と少ない感じがするのではないでしょうか。
新種保険も千葉県が多く、証券数は3分の1ですが、支払保険金は3分の2を占めています。千葉県は損害額の大きい被害が多かったと言えそうです。
2019年の台風15号と19号では千葉県に被害が集中しましたが、台風の経路は決まっていないので、今後、東京都や埼玉県が被災する可能性はあります。台風15号や19号では、自動車は1台あたり45万円、住宅は1証券あたり77万円の保険金を受け取っています。あくまでも平均値ですが、この額が実際の損害額と考えられます。被災したときには再建への第一歩に保険金が役立つはずです。損害保険の必要性を今一度考えつつ、大型の台風が来ても被害に遭わないよう、被害を受けても困らないよう、適切な備えをしておきましょう。
松浦建二(CFP ®認定者・1級FP技能士)
青山学院大学非常勤講師/FPとして個人向けや中小法人向けコンサルティング業務やFPに関する講演・執筆を主に、金融商品の販売代理業務等を行っています。各メディアにて取材協力も行っています。
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