【マイホーム購入者の今どきの平均像】

コラム マイホーム購入

いつかは欲しい一戸建てのマイホーム、既に手に入れた人はどのようにして手に入れたのでしょうか?大手住宅会社3社の公開資料から、購入者の平均像を探ってみました。

 

確認した資料は、積水ハウス「Financial Factbook」の各年、大和ハウス「Financial Factbook」の各年、ミサワホーム「決算説明資料(Financial Fact Data)」の各年で、積水ハウスの年度は2月から1月(例えば2018年度は2018年2月~2019年1月)、大和ハウスとミサワホームは4月から3月としています。

 

  • マイホームは40歳を前に購入している

購入者の平均像を探るために、ミサワホームの資料から、まずは住宅購入者の平均年齢を調べてみました。下記のグラフはミサワホームで注文(請負)住宅、建売分譲住宅、賃貸住宅を購入した人の平均年齢の推移です。

 

資料:ミサワホーム決算説明資料(2006年3月期~2019年3月期)

注文住宅は既にある(他で確保した)土地に、請負契約をしてから家を建てるのに対し、建売分譲住宅は既に建っている家を土地ごと契約して購入します。建売分譲住宅は実物を確認して購入できる安心感があり、注文住宅はオーダーメイドできる自由があります。注文住宅を購入した人の平均年齢は39.2歳、建売分譲住宅は36.4歳となっています。30代後半は家族が成長し、収入も増えて、絶好の買い時なのでしょう。注文住宅と建売分譲住宅の年齢差は2.8歳ですが、調査した15年間全て注文住宅の方が年齢は高いので、僅かな違いのように見えて、心理的に大きな違いがあるのかもしれません。

 

●15年前に比べて建替え購入者が減っている
次に住宅購入者のうち建替え割合がどのくらいなのかを、積水ハウス・大和ハウス・ミサワホームの資料で確認してみました。建替えは現在の建物が老朽化等したことにより、解体して新たに建てるので、建てるための土地は既に保有していることになります。住替えは別の場所に建てる場合です。

 

資料:積水ハウスFinancial Factbookから建替比率・大和ハウスFinancial Factbookから建替比率(建替+住替)・ミサワホーム決算説明資料から建替比率
※積水ハウスの2002年度まで、ミサワホームの2000年度は資料で確認できず

3社に共通して言えることは、建替比率が下落傾向にあることです。積水ハウスは2003年度の33.0%から2018年度の30.5%へ2.5%下がり、大和ハウスは2000年度の38%から2018年度の25%へ13%下がり、ミサワホームは2001年度の41.3%から2018年度の22.7%へ18.6%下がっています。少子化で親の家を継げる人は多そうですが、親の家を建て替えずに別の場所へ移ってしまっているのでしょうか。全体的にイメージしていたより建替率が低く、建替えられることのない家の将来が気になります。

 

●住宅会社によって異なる、購入に至る経路の傾向
最後に、住宅購入者が何をきっかけに購入に至ったかの受注経路について、積水ハウス・大和ハウス・ミサワホームの資料で確認してみました。一つ目のグラフは受注経路が住宅展示場の割合、二つ目のグラフは受注経路が紹介の割合となっています。

 

資料:積水ハウスFinancial Factbook・大和ハウスFinancial Factbook・ミサワホーム決算説明資料

※積水ハウスの2002年度まで、大和ハウスの2016年度、ミサワホームの2003年度までは資料で確認できず
※積水ハウスは各年度の割合が前期と後期で分かれているため前後期の平均値で作成

 

住宅会社にとって建てる人を探すことは非常に重要であり、いろいろな販路を用意していますが、受注経路の比率をみると、ほとんどが住宅展示場と紹介からになっています。2018年度の展示場比率をみると、積水ハウス79.9%、大和ハウス37%、ミサワホーム39.8%と高く、特に積水ハウスの比率は驚異的です。2000年代前半は何れも30~40%程度で差は小さかったですが、積水ハウスの展示場比率が最近10年急上昇しています。初対面の時から契約に至るまで高い確率で受注できる仕組みを構築したのでしょう。

 

積水ハウスは展示場比率が上がり続けた反動で、紹介受注の比率が下がり続けています。

資料:積水ハウスFinancial Factbook・大和ハウスFinancial Factbook・ミサワホーム決算説明資料

※積水ハウスの2002年度まで、大和ハウスの2016年度、ミサワホームの2003年度までは資料で確認できず不明
※積水ハウスは各年度の割合が前期と後期で分かれているため前後期の平均値で作成

 

積水ハウスは2003年度に紹介比率が50%を超えていましたが、2018年度は17.2%まで下がっています。逆にミサワホームは2004年度の32.4%が、2018年度には45.3%まで上がっています。住宅会社によって受注経路の考え方は大きく異なるようです。

 

マイホームを購入したい人にとっては、今も昔も住宅展示場と紹介の存在が非常に大きいと言えます。マイホームが欲しくなったら、まずは住宅展示場に行ってみたり、実際に建てた人に聞いてみたりすることから始めてみては如何でしょうか。

 

 

 

 

松浦建二(CFP ®認定者・1級FP技能士)

青山学院大学非常勤講師/FPとして個人向けや中小法人向けコンサルティング業務やFPに関する講演・執筆を主に、金融商品の販売代理業務等を行っています。各メディアにて取材協力も行っています。

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