サブリース契約書のチェックポイントやよくあるトラブルを解説

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サブリース契約書のチェックポイントやよくあるトラブルを解説

 

マンションなどの不動産を賃貸経営する際、サブリース契約を結ぶことでより多くのメリットを得ることができるようになります。しかし、契約書の見落としによって大きなトラブルが発生することも少なくありません。

 

今回はサブリース契約の概要や実際に起きたトラブルの内容について解説します。また、確認すべき契約書のチェックポイントも紹介していきますので、気になる方はぜひ参考にしてください。

 
 

サブリースの契約書をよく確認してトラブルを避けよう

「サブリース」とは、マンション一棟など賃貸物件の全室を不動産管理会社が一括で借り上げて、不動産会社から大家さんに家賃収入を支払うという住宅経営システムです。入居者募集や家賃回収などの手間がかからず、大家さんの負担が減るというメリットがあります。

 

サブリースに似た住宅経営システムに「管理委託」というものもありますが、こちらの場合は空室時の家賃保証がありません。不動産管理会社とサブリース契約を結んだ場合、空室が発生したとしても家賃収入が滞ることがなく、安定した家賃収入が見込めます。

 

メリットばかりのように見えるサブリースですが、大家さん側が契約書をよく読まなかったために、さまざまなトラブルに巻き込まれるケースも少なくありません。ここからは、サブリース契約で多く発生している事例について解説していきます。

 
 

サブリースの契約に関してよくあるトラブルとは

国土交通省が令和元年に行った「賃貸住宅管理業務に関するアンケート調査」によると、サブリース業者と大家さんの間で発生したトラブルの上位3位は以下の通りとなっています。

 


参照:賃貸住宅管理業務に関するアンケート調査(家主)|国土交通省
https://www.mlit.go.jp/common/001320849.pdf

 

「特にトラブルはない」というケースも52.9%ありましたが、やはり全体的に目立つのは「サブリース契約の締結時に、サブリース業者から説明を受けるべき契約内容の説明が不十分なケースがある」ということでしょう。また、事前説明を受けた時期として特に多かったのは「サブリース契約締結時」で、事前説明を受けた内容では以下の5つが上位を占めています。さらに、これらについて事前説明を受けていないというケースがそれぞれ30%近くあることにも驚かされます。

 

【サブリース会社から事前説明を受けた時期と内容】
(1)将来の家賃変動の条件について
(2)空室のリスクについて
(3)修繕工事費用について
(4)賃料の固定期間・改定時期について
(5)賃料減額のリスク

 


参照:賃貸住宅管理業務に関するアンケート調査(家主)|国土交通省
https://www.mlit.go.jp/common/001320849.pdf

 

以上のアンケート結果より、サブリースの契約時には、契約書の内容をしっかりと確認することが重要だということがわかります。また、大家さん側から業者に説明を求める必要もあるといえるでしょう。

 
 

サブリースの契約書はひな型がある

サブリース契約で多発しているトラブルの発生を予防するために、国土交通省は以下の2つの制度を用意しています。

 

①国土交通省のホームページにサブリース住宅標準契約書のひな型「サブリース住宅原賃貸借標準契約書」を設置(令和2年6月~)
②「賃貸住宅管理業者」の登録制度と「賃貸不動産経営管理士」等の設置義務(令和3年6月~)

 

サブリース契約書のひな型(①)について、賃料の見直し時期や管理会社変更の可否といったいくつかの項目が含まれています。内容はたびたび改定されていますが、契約によっては不十分な場合もあります。こちらのひな型をベースとして、自分のサブリース契約に見合うように、必要事項を加えてもらう交渉をしましょう。

 
 

サブリース契約書の6つのチェックポイント

サブリース契約を結ぶことになった場合、上記で紹介したようなさまざまなトラブルを未然に防ぐためにも、以下のポイントに気をつけながら契約書をチェックしてみてください。

 

・賃料の改定について
・賃料の内訳について
・契約期間と中途解約権について
・修繕費用などの分担について
・入居者情報の取り扱いについて
・家賃保証がない免責期間について

 

1つずつ解説していきましょう。

 

賃料の改定について

サブリース契約では、空室が発生した場合でも、業者の負担により大家さんへの家賃収入(賃料)が保証されています。このサブリース賃料について、入居率や築年数の経過によっては引き下げの措置がなされる恐れがあります。「賃料5年保証」のようなサービスがあったとしても、契約内容に「賃料の改定」に関する記載がある場合、当初のサブリース賃料が下がってしまうことも少なくありません。

 

このような事態を防ぐためにも、契約書をきちんと確認しておく必要があります。たとえば「通常は2年ごとに賃料の見直しをする」と記載されている場合、「4年ごとの交渉」にしてもらうように相談するなど、事前にリスクヘッジをしておくと良いでしょう。

 

賃料の内訳について

サブリース契約では、礼金・敷金・更新料についてはサブリース会社が受け取り、入居者が支払う家賃については約1~2割がサブリース会社の収益として差し引かれ、残りの約8~9割が大家さんの利益となるのが一般的です。賃貸住宅経営としてキャッシュフローがきちんと発生するかどうか、このあたりの内訳についてもしっかりと確認しておくことも重要です。

 

契約期間と中途解約権について

入居率や築年数の経過により、サブリース賃料が引き下げられ、大家さん側でのキャッシュフローが成立しない状態となってしまう場合もあります。不動産会社側に中途解約権が認められていることはほとんどなく、大家さん側からの申し出によって解約の手続きが進むのが一般的です。

 

ただし、普通借家契約でのサブリース契約の場合、大家さん側からの中途解約は難しいです。一方、定期借家契約の場合には、契約期間の終了時に更新しないという選択肢があります。キャッシュフロー計画が破綻しそうなときに備えて、サブリース契約書では、契約期間・中途契約権・違約金の額などについても確認しておきましょう。

 

修繕費用などの分担について

賃貸物件の管理経営では、固定資産税や修繕費、管理費や火災保険料、共用部分の維持管理費といった費用がかかります。これらの費用について、サブリース契約書では不動産会社と大家さんのどちらが負担することになっているのかを確認しておきましょう。

 

入居者情報の取り扱いについて

家賃の回収やクレーム対応、共有スペースの維持管理などはサブリース会社が行います。そのため入居者の様子を把握できず、どんな人が入居しているのか不安を感じる大家さんも少なくありません。このような状態にならないように、サブリース契約を結ぶときはその都度最新の情報を知ることができるような報告義務を追加してもらうように交渉してみましょう。

 

家賃保証がない免責期間について

サブリース契約のメリットである「家賃保証」ですが、こちらは一定の期間において家賃が支払われないという免責期間が設定されていることが一般的です。免責期間については、退去後1ヶ月~半年間が相場となっています。サブリース契約を交わすときは、家賃保証がない免責期間がどのくらいに設定されているのかをきちんと確認しておきましょう。

 
 

まとめ

今回は近年トラブルの多いサブリース契約の特徴や、契約時にチェックすべき注意点を解説しました。契約書の内容をしっかり確認し、必要な場合は交渉をすることで、やっかいなトラブルを防ぐことができるようになります。契約書を確認する際には、サブリース会社にすべて任せるのではなく、自分自身の目できちんとチェックする姿勢で臨みましょう。

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