【国が賃貸借標準契約書を改定!「かぼちゃの馬車」破綻の影響か!?】
先日、世間を騒がせた女性専用シェアハウス「かぼちゃの馬車」を運営するスマートデイズが経営破綻した。
物件オーナーを見つけ建築から管理運営を請け負う「サブリース」で急激に業績を伸ばしていたが、オーナーに賃料支払いができなくなり民事再生もできず破産することとなりました。以前からサブリース契約のトラブルは問題となってきたが、ここで国土交通省が賃貸借標準契約書の改定をした。どんな内容か見ていこう。
・サブリースとは?
物件オーナーはサブリース会社(不動産会社)に建物を一括で借り上げてもらい、サブリース会社から一定の賃料を得ます。簡単に言うと又貸しです。
賃料は実勢家賃をベースにその一定割合で決められ、空室であっても賃料が支払われる
「家賃保証」が魅力になっている。
入居者はサブリース会社と賃貸借契約を結ぶので、入居者に関係する管理はすべてサブリース会社が行います。その代わり、サブリース会社が保証する家賃は、入居者が支払う家賃よりも低いです。
実勢家賃よりも低い家賃収入になっていますが、自分の物件を使って賃貸経営してもらい、
「家賃保証」という形で安定収入を得る運用方法がサブリースとなる。
・かぼちゃの馬車道の破綻の経緯は?
トラブルが起こったのは空室リスクへの対応ができていないのに高い賃料を保証するなど、健全なサブリース事業を行っていなかったことが原因だ。
スマートデイズは顧客を集めるために「頭金は不要」「30年間の家賃収入を保証する」などと勧誘された会社員など約700人が、1棟あたり約1億円の融資を受けてシェアハウスを購入していた。
オーナーには利回りを大きくするために異常なサブリース料、また土地建物に約1.5倍の利益を乗せた物件を販売し利益を確定させていたが、空室は多く安定した賃料がとれていなかった。利益を得るには、新しい物件を建て続けなければキャシュフローが成り立たない状況の中で一挙に融資を行っていた銀行がシェアハウスに対する融資を一切ストップした。
そこからオーナーに保証した賃料の支払いが停止しはじめ、オーナーがローンを払うことができなくなりトラブルが大きく報じられるようになった。
・国土交通省が賃貸住宅標準契約を改定
2015年あたりから相続税増税の影響で、節税対策として賃貸アパートの建設が多くなり、トラブルは増加していた。2018年3月27日には、国土交通省が消費者庁と連携してサブリース契約に関して注意喚起をしてるほどだ。今回かぼちゃの馬車のサブリース契約には大きな影響を与えているだろう。このような背景もあり2020年4月1の民法改正等に踏まえて国土交通省が賃貸住宅標準契約書やサブリース契約に関して改定をした。
賃貸住宅標準契約書関係
1.近年、住宅の賃貸借においては、新規契約の約6割が機関保証を利用していることを踏まえ、従来、連帯保証人による借主の債務保証のみを規定していた標準契約書について、新たに「家賃債務保証業者型」を作成
2.民法改正で個人根保証契約に極度額の設定が要件化されたこと等を踏まえ、従来の標準契約書を「連帯保証人型」として極度額の記載欄等を設けるとともに、具体的な極度額の設定に資するよう、家賃債務保証業者の損害額や明渡しに係る期間等をまとめた参考資料を作成
3.両標準契約書について、原状回復や敷金返還の基本的ルールの明記等その他の民法改正の内容を反映
サブリース住宅原賃貸借標準契約書関係
1.賃料の改定時期等の明確化、サブリース業者から契約を解約できない期間の設定、賃貸不動産経営管理士等の記名押印欄の追加、転貸の条件項目への民泊の可否に関する事項の追加など、賃貸住宅管理業者登録制度をはじめ、現在を取り巻く環境の変化等を踏まえて改定
2.原状回復や敷金返還の基本的ルールの明記等その他の民法改正の内容を反映
参考資料:国土交通省資料抜粋
http://www.mlit.go.jp/report/press/house03_hh_000121.html
賃貸借契約に関しては、連帯保証人を保護するために、あらかじめ保証する限度額の合意を必要とすることや退去時の敷金返還や原状回復に関して明記することが必要になる。
サブリース契約では、一定期間経過後に賃料相場の下落を理由に賃料の減額を求められ、これに応じないと中途解約されるといったトラブルが発生していたが、サブリース業者が勝手に減額を通告したり、短期間で中途解約をしたりできない契約内容になる。
ただし、周辺の賃貸市場の変化や建物の不具合などがあれば、協議のうえで賃料を改定することは可能だ。
今後民法改正にあたり少しでも安心して不動産投資ができることを期待したい。不動産会社の甘い誘惑にのるのではなく、個人が信頼できる不動産会社を見極めることが必要になってくるだろう。
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