【マンション修繕積立金の現状】

マンションの維持管理に管理費や修繕積立金は必要不可欠ですが、できることなら、なるべく支出額を抑えたいものです。そこで、管理費と修繕積立金の理解を深め、適正額をイメージできるよう、平均値等を調べてみました。前回の管理費に続いて今回は修繕積立金についてです。

 

●国土交通省のマンション総合調査でマンションの管理等に関する調査を5年毎にしています。直近の平成25年度調査から、まずは一戸あたりの現在の修繕積立金を調べてみました。

資料:国土交通省平成25年度マンション総合調査
※不明を除く

マンション修繕積立金(使用料・専用使用料からの充当額を含む)の月額平均は11,800となっています。全体の6割が7,500円超~1万円以下(27.9%)または1万円超~1.5万円以下(32.2%)に入っていますが、修繕積立金が2,500円以下(0.9%)や5万円超(2.3%)のマンションも中にはあります。

管理費の平均が月額15,257円なので、マンションの所有者は管理費と修繕積立金で平均27,057円負担しています。

 

●大規模なマンションは一戸あたりの修繕積立金が高い
次に一戸あたりの修繕積立金をマンションの総戸数規模別に分けてグラフにしてみました。

資料:国土交通省平成25年度マンション総合調査

修繕積立金を総戸数の規模別にみると、最も高いのは戸数が501戸以上の16,509円で、次に高いのは戸数が20戸以下の13,150円となっています。総戸数が極端に多いか少ないマンションの修繕積立金が比較的高いという特徴的な結果になっています。501戸以上のマンションの修繕積立金が高いのは、ジムやゲストルーム等の立派な付帯施設が多く備わっているからでしょう。

 

●㎡あたりでも大規模なマンションの修繕積立金は比較的高い
マンションの修繕積立金を㎡あたり(面積別)でも確認してみました。

資料:国土交通省平成25年度マンション総合調査

マンションの修繕積立金を㎡あたりで計算すると、平均は164円となっています。50㎡だと8,200円、70㎡だと11,480円が修繕積立金の平均値です。㎡あたりの修繕積立金をマンションの総戸数規模別にみると501戸以上のマンションが250円で特に高く、301~500戸の140円と比べて110円(79%)も高くなっています。

 

●修繕積立金は築年数に比例している
修繕積立金はマンションの規模だけでなく築年数にも大きく影響しているので、建築時期による違いも確認してみました。

資料:国土交通省平成25年度マンション総合調査

建築時期を5年毎に分けてみた場合、おおよその傾向として古ければ古いほど修繕積立金が高くなっています。最も高い1969年以前は15,212円で、平均より3,412円も高くなっています。最も低いのは2010年以降の10,319円で、1969年以前とは4,893円も差があります。

マンションの修繕は古くなればなるほど費用がかかります。新築時から長期修繕計画に基づいて修繕積立金を積み上げていきますが、修繕積立金が長期間同額であることは稀で、多くのマンションは年数の経過とともに徐々に上がっていくようになっています。

 

●修繕積立金の運用手段はかなり限定的
最後に積み上がった修繕積立金をどのような金融商品で運用しているか確認してみました。

資料:国土交通省平成25年度マンション総合調査

超低金利の昨今では、修繕積立金の運用先はかなり限定されてしまっています。多くが預金保険制度の対象である、銀行の普通預金・定期預金・決済性預金やゆうちょ銀行(おそらく通常貯金や定期貯金)に預けられています。その他も住宅金融支援機構のマンションすまい・る債や国債、損害保険商品の積立型マンション保険等、リスクが限定された信頼度の高い商品ばかりで、それ以外の商品を活用する管理組合はほとんどありません。

 

昔はMMFや割引金融債等を活用する例も見られましたが、昨今はリターンを期待するより元本割れのリスクを回避する傾向が非常に強く、運用益を期待できない状況が続いています。

 

マンションの良し悪しは管理状況が大きく影響します。新築時に分譲会社が用意した立派な付帯施設も、その後は管理組合が維持管理していかなければなりません。管理に熱心な所有者が多ければ良い状況を維持していきやすいですが、そうでなければマンションは荒れていきます。マンションを新たに購入する予定がある人は、管理状況を十分に確認した上で決断するようにしましょう。

 

 

 

松浦建二(CFP ®認定者・1級FP技能士)

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