【小学生の増減をみて自治体の特性を知る】

コラム

将来、子どもが小学校に通う世帯なら、進学予定の小学校がどのような状況にあるのか気になるところです。教育の熱心さやいじめの有無等はなかなか情報が伝わってきませんが、児童数の増減から、小学校や自治体に活気があるか想像することはできます。そこで、都内各区市町村にある公立小学校の児童数や学校数等の変化を確認してみました。

 

●23区では児童が大幅に増えている
日本全体では既に人口が減り始めていますが、東京都は人口流入でまだ増えています。小学校の児童数も増えているのか、2000年度と直近の2017年度を比べてみました。

資料:文部科学省「学校基本調査」

文部科学省の学校基本調査によると、2017年度に都内の公立小学校へ通っていた児童数は527,122人で、2000年度に比べて45,503人も増えています。17年間で8.6%増なので、毎年平均0.5%程度増えていることになります。1学年あたりでは7,500人程度増えている計算になります。ただ、郡部(西部の3町1村)や諸島部(伊豆諸島と小笠原諸島)は平均でみると大幅に減っています。

 

●福生市は児童数が3分の2に減少している
地域ごとの傾向も確認できるよう、都内の区市町村もそれぞれ調べてみました。下記表の上の5行は東京23区と26市の中で特に児童数の増加率が高い区市、下の5行は特に児童数の増加率が低い(減少率が高い)市です。

 

資料:文部科学省「学校基本調査」
※郡部・諸島部は除く

都内でも区市町村によって児童数の増減率には大きな差があります。2000年以降の17年間で増加率が最も高いのは港区で、実に61.3%も増えています。2番目が中央区、3番目が江東区で、この隣接した3区の湾岸エリアには新たに超高層マンションが数多く建ち、全年齢の人口も急増しています。4番目に一つだけ市が入っています。稲城市は多摩ニュータウンの宅地開発で大幅に増えていると考えられます。増加数では江東区の8,210人が最も多く、次が世田谷区の7,301人です。これだけ小学生が増えたら、かなり賑やかになったのではないでしょうか。

 

一方で小学校の児童数が減っている区市町村もあります。2000年以降で最も増加率が低い(減少率が高い)のは福生市で、33.9%も児童が減っています。3,622人が2,393人へ大きく減って何か悪影響はないのでしょうか?少人数教育になって良いとも言えそうですが、この状況を悲観しているのであれば、どの様な策を講じてきたか気になるところです。福生市の次は青梅市の25.7%減、羽村市の15.9%減と続きます。何故かJR青梅線沿線の市が上位に並んでいます。他にも昭島市が7.5%減、ランキングに入れていませんが奥多摩町は実に56.7%減です。奥多摩町の場合、児童数が319人から138人へ減り、学校数も3校から2校へ減っています。都内であっても都心から比較的距離のある青梅線沿線は、子育て世代から少し敬遠されているようです。4番目に国立市が入っているのは意外ですが、閑静な住宅街を守るために大型マンションや小さな戸建てが少なく、若い世代の流入を抑制してしまっているのかもしれません。

 

●児童数は増えている方が良いのか?減っている方が良いのか?
街の活性化を考えたら、高齢者が多いより小学生がいるようなファミリー層が多い方が良いです。児童数が減っていれば、友人とお別れで寂しい思いをすることも多く、学校が統廃合されて遠距離通学になってしまうかもしれません。ただ少人数だと隅々まで行き届いた教育を期待できそうです。児童数が増えていれば、和気あいあいと楽しいでしょうが、あまりにも児童数が急増すると、落ち着いて学べる状況ではなくなることも考えられます。

 

都内には小学校の児童数が増えている地域、減っている地域、変わらない地域と、いろいろあります。どこで子どもが小学校生活を送るのが良いのかは、人それぞれです。親の考え方はいろいろであり、子ども自身も考え方はいろいろです。今回取り上げたのは東京都の小学校なので、伊豆諸島や小笠原諸島(小笠原村は児童が増加しています)に行かなければ、どこに住んでも親の通勤は何とかなりそうです。住みたいところに住むのが一番良いので、家族で十分に話し合い、引っ越すなら事前に何回も下見をしてから決めると良いでしょう。

 

 

松浦建二(CFP ®認定者・1級FP技能士)

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