【マイホームは所有?賃貸?物件価格から試算してみた】
マイホームは所有する方が良いのか、それとも賃貸する方が良いのか、よくある対決テーマです。経済的な損得や住み心地、個人的考えの違いによる影響が大きいので、答えは一つではありませんが、だからこそ、いろいろな人がいろいろな角度から比較してみるのは良いことです。そこで、ここでは経済的な損得に着目して比較してみました。
●前提条件
居住面積が33㎡(10坪)程度の1LDKマンションに10年間暮らすことを考え、賃貸の場合は、家賃は坪当たり約1万円で月額10万円(共益費等込)、新規賃貸契約時と更新時の諸費用を60万円とします。10年間で負担する住居費は、下記の計算式の通りです。
家賃月額10万円×12ヶ月×10年+諸費用60万円=10年間の費用負担1260万円
その他の費用は考慮していません。
所有の場合は中古で購入し10年後に売却することとします。購入時と売却時の価格は何通りか試算することにし、物件価格以外に費用については下記の通りとします。
購入時費用
仲介手数料……(物件価格×3%+6万円)×消費税10%
住宅ローン関係諸費用……借入額に連動
所有時費用
住宅ローン返済……ローン金利固定1%、借入期間35年、元利均等返済
管理費・修繕積立金……合せて月額2万円(10年間で240万円)と仮定
固定資産・都市計画税……年間10万円(10年間で100万円)と仮定
売却時費用
仲介手数料 (物件価格×3%+6万円)×消費税10%
その他の費用は考慮していません。固定資産税等の軽減措置も考慮していません。また、想定居住面積が33㎡なので、住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)は対象外となります。
●購入価格と同額で売却できたら所有の方が断然お得!
購入の場合、3000万円の物件を全額借入(諸費用は自己負担)で購入し、10年後に同額の3000万円で売却できた場合、費用負担のイメージは下記の通りです。
購入時費用
仲介手数料105.6万円、ローン諸費用概算90万円
所有時費用
住宅ローン返済月額84,685円(10年間で1016.22万円)、管理費・修繕積立金月額2万円(10年間で240万円)、固定資産税等年10万円(10年間で100万円)
売却時費用
仲介手数料105.6万円
10年間の負担額は、「105.6万円+90万円+1016.22万円+240万円+100万円+105.6万円=1657.42万円」となります。10年後のローン残高は2247万円なので、10年後に3000万円で売却すると、全て返済しても売却代金のうち753万円が手元に残ります。
つまり、所有した場合の費用負担は「1657.42万円-753万円=904.42万円」となるので、賃貸の場合と比べると1260万円対904.42万円で、所有した方が10年間で約356万円の負担減になります。
●購入価格から20%も下がって売ったら賃貸の方が断然お得!
同条件で、10年後に20%ダウンの2400万円で売却した場合の費用負担も試算してみました。
購入時費用・所有時費用
変化なし
売却時費用
仲介手数料85.8万円
10年間の負担額は、「105.6万円+90万円+1016.22万円+240万円+100万円+85.8万円=1637.62万円」となります。10年後のローン残高は2247万円なので、10年後に2400万円で売却すると、全て返済しても売却代金のうち153万円が手元に残ります。
つまり所有した場合の費用負担は「1637.62万円-153万円=1484.62万円」となるので、賃貸の場合と比べると1260万円対1484.62万円で、所有した方が10年間で約約225万円の負担増になります。
購入したマンションが10年後に購入額より20%も下げないと売れないような状況下では、所有より賃貸の方が住居負担は軽くなりそうです。下がっても10%程度だと所有と賃貸で負担は同程度なり、10年後に同額または購入額より高く売れるようなら、所有した方が負担は軽くなり、経済的メリットがありそうです。
この試算では、様々な前提条件の変更によりすぐに結果が変わります。今回は売却額を変えただけですが、家賃・各諸費用・住宅ローン金利等を変えても結果は変わります。気になる人は、ここで紹介した計算方法で、数値を変えていろいろ試算してみては如何でしょうか。
松浦建二(CFP ®認定者・1級FP技能士)
青山学院大学非常勤講師/FPとして個人向けや中小法人向けコンサルティング業務やFPに関する講演・執筆を主に、金融商品の販売代理業務等を行っています。各メディアにて取材協力も行っています。
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