【子どもの教育から住まい選びを考える】
子どもの進学先をどうするかは、どの親も子も悩むところです。特に小学校や中学校から私立や国立の学校へ進学させるとなると、自宅の場所も大きく影響してきます。将来の進学先に少しでも多くの選択肢を用意しておくために、住まい選びをどうしたら良いか考えてみました。ここでは首都圏の場合について取り上げます。
●小学生が1人で遠距離通学するのは怖い!
小学校(人によっては幼稚園)から大学(大学院)まで、子どもの進学先は選択肢があるからこそ悩みます。選択肢がなければ悩まなくて済むかもしれませんが、それは親子にとって望むことではないと思います。選択肢を一つでも多く確保していくには、どこに住むかも非常に大事なポイントになります。
小学校を私立や国立に行かせたいと思った時、自宅から通える場所に私立や国立の小学校がないことには検討することもできません。大人であれば片道1値時間くらいの通勤は苦にならないでしょうが、まだ6歳の子どもが1時間もかけて小学校へ通学することは相当大変な事です。毎日親が送り迎えするならまだしも、1人で電車やバスに乗るとなると、トラブルに巻き込まれる心配もあります。
私立・国立の小学校への進学を検討する可能性が少しでもあるなら、通える学校に行くというより、通える場所に住むことを重視したいものです。下記は都内の主な私立・国立小学校で児童数(2020年度の小学1年生)が多い区市順にまとめたものです。
資料:東京都の統計「令和2年度 学校基本統計(学校基本調査報告書)」
私立や国立の小学校は立地場所に偏りがあります。特に国立は表の4区市に6校しかありません。私立は国立よりも数が多く多少は分散していますが、第1希望の小学校に必ずしも入学できるとは限らないので、複数の希望する小学校に通える場所に住むとなると、住むべき場所はかなり限られてきます。中には通学地域が決められている学校もあります。
●中学校も満員電車で長距離通学は避けたい
中学校から私立や国立の学校に進学を希望する場合、多くの子どもは小学4年生あたりから進学塾に通います。4~5年生で週2~3日、6年生で週3~4日は通うことになり、平日は学校が終わってからの夜間なので、親が迎えに行く等のサポートが必要です。その為、塾が自宅から遠いと親も子も結構大変で、帰りが遅くなれば子どもの睡眠時間が減ってしまいます。つまり、中学受験を考えるなら、通塾の段階から利便性の良い(塾に近い)場所に住んでいるのが理想です。
中学校に入学した後も通学時間は短いに越したことはありません。痛勤電車に30分以上乗るようだと通学だけで疲れてしまい、授業への影響があるかもしれません。座って移動できるなら長距離でもあまり疲れないでしょうが、寝過ごして遅刻してしまう生徒もいるようです。
一都三県の私立・国立中学校の立地を少し確認してみました。下記は四谷大塚ドットコムのホームページから偏差値の特に高い(男子65以上、女子66以上)学校がある区市をまとめたものです。
自宅が都心にあればほとんどの学校に通学可能ですが、埼玉県内に住んでいたら千葉県や神奈川県の学校へ通学するのは大変です。都内でも八王子や青梅あたりに住んでいると、早稲田実業以外の学校はかなり遠いです。
各中学校の受験資格をみると、1間程度とか90分以内等の記載があります。通学区域を限定している中学校もあるくらいなので、住む場所は子どもの進学先を選ぶのに大きく影響します。
●少子化でも受験者数は増えている
日本全体では人口が減少し始めていますが、一都三県で私立・国立の中学校を受験する小学生は増えています。下記のグラフは一都三県の私立・国立中学校を受験した推定数と、受験率(小学校卒業者数に対する受験者数の割合)です。
資料:声の教育社「2022年受験用合格ぱすぽーと」
一都三県で私立・国立の中学校を受験した人数は、2016年には推定43,700人でしたが、2021年には50,050人へ増え、受験率も2%強上昇しています。誰でも公立の中学校へ進学できるのに受験者数が増えているのは、昨今の私立中高一貫校の大学進学率の良さも影響しているようです。中高の6年間でこだわりのある一貫教育をするため、高校入学の生徒を募集しない学校が増えています。競争は激しくなっており、居住地で劣勢になることは避けたいところです。
わが子に私立・国立の小学校や中学校でこだわりのある教育を受けさせたいのであれば、住む場所も早いうちからこだわっていく必要があります。ライフプランを立てて、先を見据えて計画的に歩んで行くのが良いのではないでしょうか。その際は、ファイナンシャルプランナー等の専門家も上手く活用していきましょう。
松浦建二(CFP ®認定者・1級FP技能士)
青山学院大学非常勤講師/FPとして個人向けや中小法人向けコンサルティング業務やFPに関する講演・執筆を主に、金融商品の販売代理業務等を行っています。各メディアにて取材協力も行っています。
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