【賃貸住宅の不具合発生 賃料はどうなる?】

コラム 法律 物件・土地選び

地球温暖化の影響を感じざるを得ない自然災害が毎年、続いていますね。
大気が温まることで、大気に含まれる水蒸気量が増加し、降雨量が爆発的に増えているように感じます。

日本でも、線上降水帯による集中豪雨や、台風の大型化等が心配されます。

 

自然被害は一瞬で平穏な日常生活を奪い去っていきます。
持家であれば、火災保険に建物や家財の損害の補償の確保は必須です。
一方、賃借人は家財の保険は必須ですが、家賃はどうなるかご存じでしょうか?
今回は、2020年の民法改正により改正された賃貸借の賃料に関する法律の規定と
その考え方のガイドラインを紹介したいと思います。

 

一定要件のもと、当然に賃料の減額される

民法611条では、以下のとおり規定しています。

賃借物の一部が滅失その他の事由により使用および収益をすることができなくなった場合において、それが賃借人の責めに帰することができない事由によるものであるときは、賃料は、その使用および収益をすることができなくなった部分の割合に応じて減額される。

 

つまり、借りている住宅に、借りている本人が原因ではない理由により、不都合が発生した場合、その不都合に応じて家賃が減額されます。

 

ただし、民法では具体的には数値は表示していません。

 

1つ参考になる具体例として「公益財団法人 日本賃貸住宅管理協会」が定めている、
「貸室・設備等の不具合による賃料減額ガイドライン」を紹介します。

 

貸室、設備に不具合が発生

 次のA群に該当するかを確認

状況

賃料減額割合

免責日数

電気が使えない

40%

2日

ガスが使えない

10%

3日

水が使えない

30%

2日

 A群のいずれにも該当しない場合B群

 

状況

賃料減額割合

免責日

トイレが使えない

20%

1

風呂が使えない

10%

3

エアコンが作動しない

5,000

1カ月あたり)

3

テレビ等通信設備が使えない

10%

3

雨漏りによる利用制限

5%~50%

7

 

■ガイドライン使用上の注意事項

・入居者の善管注意義務違反に基づく不具合は除く

・台風や震災などの天災で、貸主・借主の双方に責任がない場合も賃料の減額が認められる。

ただし、電気、ガス、水道の停止が貸室設備の不具合を原因とするものでなく、供給元の帰責事由に基づく場合はこの限りではない。

・全壊等により使用および収益をすることができなくなった場合は、賃貸借契約が当然に終了するため、ガイドラインの対象外。

・ガイドラインは、目安を示しているものであり、必ず使用しなくてはならないものではない。

 

なお、表の「免責日数」とは、物理的に代替物の準備や業務の準備にかかる時間を一般的に算出し、賃料減額割合の計算日数に含まない日数を指します。

 

ガイドラインを具体的事例で考えてみましょう。

 

例:家賃12万円(1カ月30日)

 

事例1:台風により1週間(7日間)停電した

12万円×40%×(7日-2日)÷30日=8,000円の減額

 

事例2:大雨による土砂災害により10日間断水した

12万円×30%×(10日-2日)÷30日=9,600円

 

事例3:ガス供給会社の帰責事由に基づくガス管破損により3日間、ガスが供給停止となった

家賃減額なし(自然災害による場合も免責日数が3日であるため、同様に減額なし)

 

 

事例4:エアコン機器故障により、修理や入替えのため、今月4日間動かなかった

5,000円の減額

(動かない期間が1カ月あたり3日以下は免責、4日以上は一律5,000円の減額)

 

 

以上のとおり、家賃が大幅に減額されるというものではありませんが、

一定期間以上の不具合が生じる場合には、代替品の購入費用を手当てできそうです。

たとえば、

 

・ガスが使えない場合、カセットコンロのガスボンベ代

・水道が使えない場合、自治体の給水を使いつつ、飲み水はミネラルウォーター購入代

・エアコンが使えない場合、安い扇風機代

等が考えられます。

 

なお、ガイドラインはあくまで「ガイドライン」であり、貸主と借主の賃貸借契約書の定めが優先されますので、まずは契約書を確認してみましょう。契約書に記載がない場合には、民法の規定で減額される規定がどのように運営されるのか、確認が必要です。

 

自分の健康は、睡眠や食事、運動等によりコントロールが可能ですが、

自然はコントロールできません。

だからこそ、住宅や家財の損害リスクに対しては、その地域が抱えるリスクを把握して、

火災保険や地震保険により手当てしつつ、普段から、万一への備えをしておくことが重要です。

「水害リスクの低い地域の物件を紹介して欲しい」

「土砂災害や洪水のリスクがどの程度あるか知りたい」

「住宅の保険を見直したい」等、住宅に関するご相談は、私たちFPをご活用ください。

 

 

 

益山 真一

1971年生まれ。早稲田大学政治経済学部経済学科卒業。

1級FP技能士、CFP認定者

マンション管理士、宅地建物取引士、消費生活アドバイザー

ダイエット検定1級、食生活アドバイザー2級、健康管理能力検定2級

2003年から2017年まで15年にわたり、國學院大學経済学部非常勤講師

人生を楽しむお金を生み出すことを目的とした執筆、講演活動を展開。

主なテーマは「資産形成・老後資金準備と家計管理」

FPの資格取得・継続教育、宅建の資格取得研修、高校・大学の講義のほか、

投資家向けセミナー、内閣官房内閣人事局主催のキャリアデザイン研修講師、

ファイナンシャルアカデミーのお金の教養講座・経済入門スクール等、

セミナー・研修・講義は2021年3月時点で3083回。

活動理念は「心、カラダ、キャリア、時間、お金」の5つの健康のバランスを考えた最適提案。

不動産のプロが「失敗しないお家探し」をお手伝いいたします。
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