台風の雨漏りは「疵担保責任」で直せるか徹底解説!
日本では毎年大型台風によって多くの被害が発生しています。いつ自分が同じような被害を受けるかわからないような状況ですが、もし台風によって雨漏りが起きた場合はどのように対処すればいいのでしょうか。
今回は台風によって発生した雨漏りの対策について解説します。瑕疵担保責任の有無や火災保険の使い方なども一緒に紹介していきますので、災害対策についてお悩みの方はぜひ参考にしてください。
台風で雨漏りが…瑕疵担保責任で直せる?
台風による雨漏りは瑕疵担保責任にはならないので、基本的に売主へ瑕疵担保責任を追及することはできません。瑕疵担保責任とは、「売買が行われた対象物件に隠れた瑕疵があった場合、売主が買主に対して責任を負う」という意味を持つ言葉です。
瑕疵担保責任は物件に存在する「隠れた瑕疵」に対して責任を負うため、売買時点で判明している瑕疵は対象になりません。また、台風によって雨漏りが発生した場合は、雨漏りが売買時点で存在した瑕疵なのか、隠れた瑕疵によるものかどうかはわかりません。
台風は通常の雨天と比較して、雨量が多いいケースがほとんどのため、瑕疵がない物件であっても雨漏りする可能性は高くなります。瑕疵担保責任に値する隠れた瑕疵があったとしても、瑕疵が原因で雨漏りしたかどうかの判断は非常に難しいといえるでしょう。
火災保険で直すことが可能
自然災害による住宅への被害は、「火災保険」を使うことで直すことができます。たとえばソニー銀行では、火災以外の風災や水災、水漏れなどの補償がセットになった火災保険があり、ほかの保険会社も火災以外の災害に対応している保険を用意していることがほとんどです。
注意点として、火災保険で補償している雨漏りの原因は自然災害によるものに限られています。元々外壁や屋根に損傷があった場合は自然災害ではなく、経年劣化による雨漏りと判断され、補償されないこともあります。台風による雨漏りが発生した場合、自身が加入している火災保険を確認してみるといいでしょう。
瑕疵担保責任が利用できるケースとは
台風などの自然災害による雨漏りではなく、ほかの原因で雨漏りが発生した場合、瑕疵担保責任を問えることがあります。「住宅の品質確保の促進等に関する法律」で、建築して10年以内での雨漏りは施工会社の責任になるということが定められました。ただし、雨漏りなどが起きた後、一年以内に施工会社や売主に瑕疵の存在を伝える必要があると、民法第566条で決められています。
「(前文省略)契約の解除又は損害賠償の請求は、買主が事実を知ったときから一年以内にしなければならない。」(第566条)
上記のように、瑕疵の発見から一年以上経ってしまうと、損害賠償などの追及をすることができなくなってしまいます。雨漏りの中には天井に小さなシミを作る程度のものもあるため、少しでも不具合を感じたら売主や施工会社に連絡しましょう。
2020年4月より「契約不適合責任」に名称が変更
2020年4月の改正により、「瑕疵担保責任」が「契約不適合責任」に名称が変更され、内容も変わりました。以前の瑕疵担保責任では、「隠れた瑕疵」が対象となっていましたが、契約不適合責任では対象の範囲が広がっています。
改正後には、「目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないものであるとき」(改正民法第562条第1項本文)に変わっています。以前の「隠れた瑕疵」という曖昧な表現から、契約内容と異なるものを提供した場合に責任を負うという内容に変更され、瑕疵が隠れたものか否かは関係なくなりました。
ほかにも改正後の内容に買主側の権利の一つとして「追完請求権」があります。これは目的物が不完全だったと認められた場合に、目的物の修繕や代替物の引渡しを施工会社などに請求できる権利であり、以前の瑕疵担保責任にはなかった権利です。
注意点として、買主側に明らかな責任がある場合は、追完請求権はなくなります。追完請求をしたのに請負主が対応しなかった場合、代金の減額を求めることができる「代金の減額請求権」や、「損害賠償権・解除権」などの権利行使も可能になりました。また、瑕疵担保責任のときに存在した、「瑕疵の存在を知ってから一年以内に請負主に通知する」という内容も変更が加えられています。
「売主が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない目的物を買主に引き渡した場合において、買主がその不適合を知ったときから一年以内にその旨を売主に通知しないときは、買主は、その不適合を理由として、履行の追完の請求、代金の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができない。」(改正後第566条)
以前の瑕疵担保責任では、一年以内に損害賠償や契約解除を請負主に求める必要がありましたが、今回の改正で不適合に関する通知だけで事足りるようになりました。一年の期限には変更がないため、損傷している箇所を発見したときは速やかに連絡しましょう。
台風で雨漏りした際に確認したいこと
最後に台風で雨漏りした際に確認するポイントについて見ていきましょう。雨漏りと一口でいっても原因は多岐にわたります。押さえるポイントを事前に知っておくことで、早期の原因究明ができるようになります。
①雨漏り箇所の確認
雨漏りが発生したときは、どこから雨水が漏れているかを確認することが重要です。水がどこを伝って雨漏れをしているのか、ほかにも雨漏りしているところがないかを入念にチェックしましょう。天井のみならず、壁紙の裏側に雨水が伝っている可能性もあるので、屋内の壁と天井をくまなく確認してください。
②屋根材が無事か
強風の影響で、屋根の素材が剝がれている可能性があります。屋根材に被害がある場合、そこから雨水が侵入する可能性が高まります。仮に屋根材が飛ばされていた場合は、近隣の住宅に落下する可能性もあるので、自治体などに連絡を入れて指示を仰ぎましょう。
③雨どい内のパイプは詰まっていないか
風などで細かいゴミや枯れ葉が飛ばされ、雨どい内のパイプに詰まっている可能性も考えられます。パイプが詰まってしまうと、屋根から流れてきた雨水が流れなくなってしまい、屋内へ水が侵入して雨漏りにつながってしまいます。
④劣化がないか
物件の経年劣化によって雨漏りが発生することもあります。経年劣化によって雨漏りが発生する主な事例は下記の通りです。
・窓やサッシのパッキンが劣化することで隙間が発生し、雨が屋内に侵入する。
・壁にヒビなどの亀裂が入り、その亀裂から雨水が侵入して壁に雨水が溜まる。
・換気扇や管機構の防水材やフードが劣化して、防水機能が働かない。
ほかにも台風のような暴風雨の場合は排気口から雨水が逆流することもあるので、排気口も一緒に確認してみましょう。
➄賃貸物件なら賠償責任の確認を行う
賃貸物件に住んでいて雨漏りが発生した場合は、契約書に記載されている賠償責任の欄を確認しましょう。基本的に自然災害による雨漏りならば、借主に賠償責任を負うケースはありません。
しかし、雨漏りに気づいて放置した結果、建物の被害が広がった場合は報告義務を怠ったとして損害賠償請求をされる可能性があります。雨漏りを見つけたときは、速やかに大家さんや管理会社に報告するようにしましょう。
まとめ
台風による雨盛りは瑕疵担保責任を追及できませんが、どのような物件であっても雨漏りのリスクはあるものです。特に自然災害による雨漏りの被害は修繕費も高額になることが多く、支払いに困る方も少なくありません。しかし、火災保険を使えば補償してもらえる可能性があるため、一度加入している保険内容を見直してみましょう。
実際に雨漏りが発生してしまったときは焦らず原因を探り、できる限りの対処を行うことで、被害を最小限に抑えることができます。困ったときは専門業者に依頼して、今後の対策について相談してみましょう。
不動産のプロが「失敗しないお家探し」をお手伝いいたします。
まずはお気軽にご相談ください。