【住宅ローン控除が変わります!】
2021年12月10日、2022年度税制改正大綱が発表されました。
大きく変わった点が住宅ローン控除。
今回は2022年、2023年に契約し、入居した場合を前提として、
住宅ローン控除の税制改正大綱のポイントと活用上の注意点について解説します。
改正点1 控除率が変わる 控除率が1%から0.7%に
従来適用されていた住宅ローン控除は年末借入金残高の1%を所得税から差し引くことができるというものでした。
昨今の低金利の影響により、最近は6割~7割が利用する変動金利であれば0%台半ばであり、金融機関に対して支払う利息よりも、所得税から差し引くことができる金額のほうが多くなり、当初一定期間の金利負担の軽減という枠を超えて、「キャッシュパック」状態になっていました。
この状況を鑑みて、住宅ローン控除の控除率を1%から0.7%に引き下げられました。
つまり、本来のあるべき姿に近づけたと考えることができます。
ただし、住宅ローンの選び方は変わりません。
変動金利、固定期間選択型、固定金利のどれがよいかは、今後の金利動向も重要ですが、収入や家族構成、教育費や老後資金の準備等、その人のライフプランに合わせて選ぶことが大切です。
改正点2 控除期間が変わる 新築等は原則13年、中古は原則10年
積極的な繰上げ返済よりも資産形成を
改正前は、消費税率が8%から10%に引き上げられた影響を考慮して、消費税率10%適用住宅で、一定の時期に契約、入居することを条件として、控除期間を13年、その他の住宅は10年としていましたが、改正後は、新築等(宅地建物取引業者によって一定の増改築されたものを含む)は原則13年、その他は10年となります。
昨今の低金利を考えると、働いているうちに住宅ローンの返済を終えられることを前提として、支払利息の負担を軽減する目的で、繰上げ返済をするよりも、住宅ローン控除の恩恵を受けながら、繰上げ返済できる財源は、NISAやiDeCo、つみたてNISAを活用して老後資金、教育資金で投資信託を積み立てることをお勧めします。
改正点3 控除対象となる借入金残高が変わる 省エネ基準適合住宅を満たす住宅を!
従来は、認定住宅(認定長期優良住宅、認定低炭素住宅)とその他に分かれていましたが、改正後は「認定住宅のほか、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)、省エネ基準適合住宅という基準も創設されます。
国土交通省によると、2019年度に着工した住宅のうち、国が定める省エネ基準に適合する住宅は、戸建ては9割弱、マンションは7割前後を占めるとのことですので、多くのケースでは省エネ基準適合住宅を基準に考えればよいでしょう。
改正後の住宅ローン控除では、有利な住宅なほど、環境性能が高い住宅ほど控除限度額が多くなっています。環境性能が高い住宅ほど、将来の資産価値が高い(下がりにくい)と考えられますので、省エネ基準適合住宅またはそれ以上の基準を満たす住宅の購入を検討することをお勧めします。
また、控除対象となる借入限度額は物件ごとではなく、借入人ごとで判定します。
1人で住宅ローンを組むよりも、夫婦や親子など、複数人で住宅ローンを利用すると、
控除対象となる借入限度額は多くなります。
返済できない借入れは避けるべきですが、夫婦や親子等の力を合わせて
返済する場合には、住宅ローン控除も多く利用できます。
新築等:新築、建築後使用されたことのないもの、宅地建物取引業者により一定の増改築が行われたもの
改正点4 控除を受ける年の合計所得金額が引き下げられる 一定の高所得者以外は影響なし
従来、住宅ローン控除の合計所得金額の要件は、控除を受ける年の合計所得金額が3,000万円以下(2021年は一定要件を満たす床面積40㎡以上50㎡未満の場合は1,000万円以下)であることが要件でしたが、
改正後は3,000万円以下を2,000万円以下に見直し、
2023年12月31日までに建築確認を受けた床面積40㎡以上50㎡未満の新築住宅は1,000万円以下であることが要件となります。
ただし、一部の高所得者を除き、この改正の影響はありません。
住宅ローン控除が変わったとしても、
住宅の選び方、住宅ローンの選び方、返済計画は今までと同じです。
買いたいと考える住宅を、ライフプランに合った住宅ローンを選ぶだけです。
住宅選び、住宅ローン選び、住宅ローン控除の改正点について、ご相談したい方はぜひ、私たちFPにお声がけください。
益山 真一
1971年生まれ。早稲田大学政治経済学部経済学科卒業。
1級FP技能士、CFP認定者
マンション管理士、宅地建物取引士、消費生活アドバイザー
ダイエット検定1級、食生活アドバイザー2級、健康管理能力検定2級
2003年から2017年まで15年にわたり、國學院大學経済学部非常勤講師
人生を楽しむお金を生み出すことを目的とした執筆、講演活動を展開。
主なテーマは「資産形成・老後資金準備と家計管理」
FPの資格取得・継続教育、宅建の資格取得研修、高校・大学の講義のほか、
投資家向けセミナー、内閣官房内閣人事局主催のキャリアデザイン研修講師、
ファイナンシャルアカデミーのお金の教養講座・経済入門スクール等、
セミナー・研修・講義は2021年3月時点で3083回。
活動理念は「心、カラダ、キャリア、時間、お金」の5つの健康のバランスを考えた最適提案。
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